怒りと悲しみのテンテレテンテレテンテンテンテンテンテン♪

私は悲しい。

なにが悲しいって、簡単なルールや決まりごとすらも守れない人がいることです。

いきなり何の話かとお思いでしょうが、そう聞くと「確かに!」と思い当たる光景を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

そんなことを思ったきっかけは、今週の日曜日に行った落語会でした。

実は私は落語がスキなんです。

といっても聞く方で、話す方ではありません。

ただ残念ながら新潟県内に寄席は無いので、いつでも好きなときに聞けるわけではありません。

そのためホール落語と呼ばれる県内の会場で不定期に開催される落語会などがあるときには、そのチケットを買って数ヶ月前からその日を楽しみにしているわけです。

落語や歌舞伎、演劇や映画を鑑賞する際に共通して行われるアナウンスはなにかご存知でしょうか?

そう、

「携帯電話、スマートフォン、時計のアラームなど音の出る機器は、マナーモードではなく電源からお切りください」

というアナウンスです。

これが開演前に大体2~3回間隔を空けて流れます。
しかし、館内アナウンスだから、いた場所によっては聞こえづらかったり、他のことをしていたりして聞き漏らしたりするかもしれないので、それは仕方ないのかもしれません。
まぁ、ちゃんと注意を聞けよとは思いますが。

そのため会によっては、開演して最初に出てくる演者(大抵はメインの噺家さんのお弟子さん)が携帯電話の電源を切るようにお願いをしてから始まります。

この前の落語会は三遊亭兼好師匠の独演会だったのですが、どういった事情かわかりませんがお弟子さんを連れてこられず、最初から最後まで師匠お一人でした。
それでも最初の噺のマクラ(演目の前の小話)で、携帯電話の電源を切るように師匠自らお願いしていました。

・・・にもかかわらず、やっぱりいるんですよ。
携帯電話の電源を切らずに着信音を鳴り響かせる人が。

あんたが観たくてチケット取ったお目当ての噺家さんがお願いしたのに!?って思うんですが、どういうことなんでしょうね。

マーフィーの法則じゃないですが、そういう人のところには一番盛り上がっている場面で着信が来るという法則があるみたいです。

噺のサゲ(オチ)に向かって盛り上がってまいりました~!
というところで、

テンテレテンテレテンテンテンテンテンテン♪

テンテレテンテレテンテンテンテンテンテン♪


どこかで聞いたことのあるメロディーが流れてきます。

なんだ?フラッシュモブでも始まるのか?

兼好師匠の声も気持ちボリュームが上がった気がします。
もちろん噺は止められませんので、何事もなかったかのように進めていましたが内心はイラッとされたことでしょう。

もっともそれはご本人にしかわからないことですが、私の方で勝手にそういうことを考えてしまい噺に集中ができなくなってしまいます。

こうした携帯電話の電源を切らないで音を鳴らす人間が、毎回1人はいるんです。

別の会でひどかったのは携帯電話は鳴りましたし、隣のオッサンが館内の飲食はダメだって言っているのに、

ゴソゴソ・・・プシュッ・・・ゴクゴク・・・ガサガササササ・・・ピリピリッ・・・パクッ

カバンから未開封のペットボトル飲料を取り出して開封して飲みだし、さらにカバンから一口サイズのチョコレートを取り出してこれまた開封して食べだしたことがありましたね。
すみません。パクッの音は聞こえなかったかもしれません。
もし、聞こえたらそいつが口で言ってることになります。

すぐ後ろにスタッフさんが座っていたので、

「こいつをなんとかしてください!」


と、目で訴えてみましたが伝わりませんでした。無念。

その人は撮影も禁止だって再三アナウンスがされていたにも関わらず、帰り際タブレットで舞台の方を撮影していてようやく係の人に注意されてました。

世の中にはルールやマナーを守れない人がいます。

そういう人を見るとその時には怒りの感情が沸きますが、あとになると悲しくなってしまうのです。

コモンズの悲劇」という法則があります。

ここでも悲しみの一字が使われていますが、誰でも利用できる状態にあるものが適切な管理がされてない場合、自分ひとりくらいルールを破っても構わないだろうという人間が現れます。
その結果、他の人も追随しだし最終的には資源が枯渇するという考え方です。

例えば、釣りなんかも港で釣りをしていても何もいわれませんが「ここで釣りしてもOKです!」と、どこかに書かれているわけではありません。

大抵どこの場所も漁協などの善意によって黙認されているだけのことです。

にも関わらずマナーの悪い釣り人がゴミはその辺に捨てる、釣り上げたいらない魚を地面に放置する、係留ロープに針のついた仕掛けを引っ掛けてそのままにするといったことをやりだします。

そうしていつしか「ここでの釣りは禁止します!」とそれまで使えていた資源(釣り場)が使えなくなってしまうことがあります。

それでもそういう人たちは自分たちだけはいいだろうという考えで、禁止の場所でも釣りをするようです。
そんなに釣りたいなら遠洋漁業船に乗って、そのまま帰ってこないで思う存分マグロでも釣ってりゃいいのにって思いますよね。

一部のマナーの悪い人たちのせいで、ルールを守って楽しんでいる人たちに迷惑がかかるというのは、どの世界においてもあり得ることです。

落語会の場合は、ちゃんと携帯電話の電源を落とす人がほとんどです。

しかも、上でも書いたように運営と演者側で適切な管理(アナウンスによる注意喚起)がされています。

そのため、1人の携帯電話が鳴ったところで「マナー違反があったので、金輪際新潟で落語会をすることはありません」と落語会がなくなる(資源が枯渇する)ことはまずないと思います。
噺家さんにとってもおまんまのタネですからね。

それでも、10秒もあればできることをするだけで演者も観客も全員が気持ち良く楽しめる会になるんだから、それくらいちゃんとやろうぜ。って、願ってやみません。

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