そうだ彫金職人(ちょうきんしょくにん)になろう!

カンカンカンカン!

ヴァンサンカン!

ではなく、金属を金槌で叩く音が響き渡るここは、「燕市産業史料館」です。

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「燕市」は新潟県のほぼ中央にあり、モノづくりのまちと呼ばれ、金属加工産業においては日本でも有数の地域です。

ドラマ「下町ロケット」のロケ地としても注目されましたので、知っている人もいるかもしれませんね。

ちなみにイントネーションは鳥のツバメ(→→→)ではなく、ツバメ(↑→→)です。
タヌキ(↑→→)と同じイントネーションですよ。

ちなみに隣の「三条市」も金属加工で有名なまちです。
ただ、燕は「職人の町」、三条は「商人の町」とそれぞれ特色があるのですが、周りからは一緒くたに「燕三条」と呼ばれることが多いです。

新潟出身の漫画家「和月伸宏」先生の代表作、「るろうに剣心」に出てきた弥彦のよい人である「三条燕」の名前の由来ですね。

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出典:るろうに剣心 和月伸宏

が、地元の人たちはそれを面白くは思っていません。
過去にも合併して「燕三条市」を実現しようという話がでたそうですが、両市には古くからの確執があり、双方で論争に発展するなどし、結局実現には至らなかったそうです。

でも新幹線が止まる駅名は「燕三条駅」で高速道路のインターチェンジは「三条燕IC」という名称が使われています。

色々な事情が見え隠れしてますね。(^^)ニコ

まぁ、新潟に来て燕や三条に遊びに来られた際には、良かれと思っても地元の人に「燕三条って良いところですね」とは言ってはいけません。

と、こんな都道府県あるあるを話したいわけではなく、「燕市産業史料館」がもの凄く良かったという話をしたいのです。

ここは燕の金属加工産業の歴史を伝える史料館となっており、江戸時代から400年続く燕の金属加工技術発展の歴史をテキストや映像で学べたり、現在も活躍する職人や人間国宝の作品を見ることができます。

また、貴重なキセルコレクションや5,000本に及ぶ世界中のスプーンも展示されており、非常にボリュームがあってオススメです。

今回は、一番の目的であるモノづくり体験をするためにやってまいりました。

体験工房では「銅製タンブラーへの槌目入れ」や「錫のぐい呑制作」など様々な体験ができるのですが、今回選択したのは以下の2つです。

「チタン製スプーン酸化発色体験」
すずの小皿づくり」

どちらも700円と800円というリーズナブルなお値段で、時間も合わせて30分程度ということでちょうど良い塩梅です。

この酸化発色なんですが、とてもキレイなんです。
24種類もカラーがあって単色にすることもグラデーションにすることもできます。
おうちにこんなスプーンがあったらテンション上がること間違いなしですよ。

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早速作りたい!ということで、職員さんに連れられて専用の機械の前へ。

物腰の柔らかそうな職員さんがハリウッド映画でしか見たことが無いハンドジェスチャーでやり方を丁寧に解説してくださいました。

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手の方にもモザイクいるかな?

「まず、陽極にチタンスプーンを繋いで導電性電解液の中に沈めます。
その状態で直流電圧器から電流を流すことで電気分解が発生し、H2Oが水酸化物イオン(OH-)と水素イオン(H+)に分かれ、水酸化物イオンがチタンと反応することによって、チタンの表面に透明な酸化被膜が形成されます。
この酸化被膜は、印加する電圧によって変化します。
そのため、チタンの色にあわせて電圧を設定することで、チタンの色を自由に変化させることができます。」

なるほど、

わからん。

実際はもっとわかりやすい説明をしてくださいましたが、それでも3歳児なみの私の脳みそには内容が入ってきません。

まぁ、キレイならそれでいいか。

ということで、早速やってみました。
色が変わる様子をご覧ください。

職員さんに希望の色を伝えると電圧を調整してくださり、だいたいの引き上げる速度も教えてくれます。
4秒ほど時間をかけて引き上げるとちょうどよいということで、焦って早く引き上げすぎました。

それでも結構いい感じに出来たつもりです。
そして、出来上がったのがこちら!

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手前が妻作、奥が私作です。

良くないですか?
はっきりした色合いに光沢感が出るメタリックカラーは、少年からおっさんまで心をときめかせてくれるなにかがあります。

そりゃメタリックなランドセルダイオウグソクムシも作られるって話ですよ。

さて続いては、錫の小皿づくりです。

こちらは、錫の四角い板に自分の好きな絵柄を描いて、四隅を木槌で叩きながら小皿に仕上げていくというものです。

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四角以外の形もあります

絵を描くといっても筆や絵の具ではなく、タガネと金槌で線や丸を彫っていきます。

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最初に練習用に小さな錫の板を渡されますので、どのように彫ればよいのかを試すことができます。

力加減やタガネの角度など慣れないうちは思うような線を描くことも出来ず、結構難しいです。

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しかし、人は成長するもの。
何度も力加減を変えて、打ち込む角度を変えながらどのような線が描かれるのかを経験として掴んでいくことで、徐々に思い通りの線が描けるようになってきました。

だいぶ感じを掴んだところで、それを忘れないうちに本番用のキャンバスに向かって、己の心で感じた風景を彫り込んでいきます。

鉛筆で描くのとは違いやり直しの効かない一発勝負です。

深呼吸をして精神を統一し、、、左手のタガネと右手の金槌に全神経を集中させます。

いざっ!全集中!鉄の呼吸!!壱の型!!!

カン!

・・・さっそく失敗です。

ショックのあまり写真を撮り忘れてしまいましたが、目の前に自分がイメージしたものではない線が引かれました。

この時点で私のやる気はだいぶ無くなってしまいましたが、せっかくなのでこの失敗は忘れて続きを彫ることにします。

トンカントンカントンカン・・・

時間を忘れること30分。

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手を止めても頭の中でカンカン音がする・・・

出来上がったのがこちらです。

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右下から始まり、集中し直した左上、やっつけの右上の順番で3つほど、私の地元の名物である花火をモチーフに彫り込んでみました。

笑えるほど面白くもなく、かといって感心できるほど上手でもない、なんとも中途半端な結果ですが、私に彫金のセンスがないことだけは分かりました。

ここで、ビジネスで成功することを諦めて彫金職人になるという私の夢も諦めることになりました。

このあとは板を傾けながら木槌で直接端を叩いて角度を付け、お皿っぽくしていきます。

木槌でうまくいかずイライラして手で曲げたら結構かんたんに曲がってしまい、全体的にいびつな感じになりましたが、これも味だと思うことにします。

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まあまあスタンダード?

ちなみに妻は手先が器用なのでこういうモノづくりは得意です。
雪の結晶をモチーフに私より短時間で素敵な彫金を施していました。

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うまいね

まぁ、どんな形であれ世界に一つだけの品物ですからね。
持ち帰って大切に使いたいと思います。

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このあと皿がヒエッヒエ

このあとは館内を見て回り、燕の歴史についてや職人の技術を動画で学び、人間国宝や現役金工師の銘品を生で拝見したりと3時間ほど滞在して堪能しつくしました。

史料館、博物館、美術館は大好物です。あぁ満足。

そして、持ち帰ってきた錫の小皿ですが、さっそく使いたいです。

とはいえ、今日は遅くなったのでご飯を作るのも面倒です。

なにかないかな・・・あ、これでいいや。

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ゴージャス感が出たチップスターのりしお味

皿づくりはまずかったですが、チップスターはうまかったです。







追記

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