酒と料理と列車旅

うちの妻は鉄ちゃんです。

名前が鉄子というわけでもなく、じゃりン子チエのテツみたいにハチャメチャなキャラクターというわけもありません。

俗にいう鉄道好きのことです。

休日になるとたまに同じ会社の鉄ちゃんと一緒になって、SLに乗りに行ったり、県内の在来線に乗って駅カードを集める旅に出たりしています。

駅カードを集めるときには県内の駅を北から南までくまなく回る必要がありますが、ご存知の通り新潟は細長く北から南まで直線距離で250kmもあります。

九州でいうと北九州から鹿児島までの距離と同じぐらいです。

ちなみにJAFが提唱する一般道での1日の安全に車を運転できる総走行距離も250kmです。

つまり、新潟県の端から端までを1日で移動するのは危険ということですね。

電車なので運転の危険性はありませんが、それくらい距離があって大変だということはおわかりいただけたかと思います。

そのため1日目は県南方面、2日目は県北方面と戦略を練り、何時発の電車に乗って、どこの駅で乗り換えれば一番効率よく回れるか緻密な計画を立てて2日間に渡って駅カード集めの旅に出て見事にコンプリートして帰ってきました。

テンション高く喜んでいる妻には申し訳ないのですが、私はあまり興味が無いので「すごいねー、メルカリで高く売れるんじゃない?」と言ったら、烈火の如く怒られました。

そんな妻は私に代わって、休日のお出かけプランを考えてくれるのですが、今回は鉄道を使った旅行プランを考えてくれました。

それが、「そうだ、越乃Shu*Kura(しゅくら)に乗ろう!」旅です。

Shu*Kuraというのは地酒王国・新潟が誇る「酒」をコンセプトとした列車のことです。

不思議な響きとつづりの文字ですが、「越乃=越後、Shu=酒、Kura=蔵、*=米・雪・花の模様」を表しているそうです。

車内ではウェルカムドリンクや振舞い酒だったり、売店で利き酒セットが販売されていたりと、日本酒を随所で飲むことができます。

県内を巡る列車旅をお酒を飲みながら楽しんでくださいというのが目的ですね。

実は私も妻も日本酒が好きです。

妻は節度を保って飲むことができますが、私はさほど酒に強い訳でもないのに調子に乗ってグイグイ飲んでしまい、気がつくといつの間にか記憶がなくなっていることをたびたびやらかします。


そしてお酒といえば、普段の旅行では車での移動が多いですが、その場合私が道中でお酒が飲めないため、妻は毎回そのことを気にしてくれていました。

列車旅であれば運転する必要もなく、まして日本酒を飲むためだけに用意されたような列車です。

私も運転を気にすることなく思う存分飲めて、妻も好きな電車に乗れて、Win-Winの素晴らしい企画ですね。
そこまで考えて準備してくれた妻には、本当にありがたい気持ちでいっぱいです。

さて、Shu*Kuraにはいくつかのルートがあるのですが、今回選んだルートは新潟駅を出発して上越妙高駅までの総距離138.9kmの旅となります。

が、実際は私が住んでいるのは県の中央にある長岡という場所なので、そこから一度新潟に出る必要があります。(61.3km)

そして、再度同じルートをShu*Kuraに乗って戻ってきて、長岡駅を経由して上越妙高駅までの旅となるため、正味200kmの旅ですね。

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つまりこういうルート


人が見たら無駄と思えるかもしれない行動ですが、こうしてたまに電車に乗りながら、のんびりとした時間の使い方をするのも良いものです。

新潟駅に着いてからShu*Kuraの出発まで、しばらく時間が空くため駅の構内をブラブラします。

新潟駅には「ぽんしゅ館」という施設が入っています。(長岡駅、越後湯沢駅にもあります)

酒どころである新潟がオススメする日本酒の数々や、つまみとなる県の特産品などを購入できる商業施設なのですが、ここには500円でお猪口5杯の日本酒を楽しめる利き酒コーナーがあります。

新潟には88箇所と日本一の数の酒蔵があります。
その酒蔵から1種類~数種類の酒を持ち寄られ、ここでは100種類以上の日本酒から利き酒ができるのです。

そりゃあなた・・・

飲むでしょ。

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朝から日本酒


ちなみに私の好きな日本酒は、

上善如水(白瀧酒造)、越乃梅里(DHC酒造)、醸す森(苗場酒造)です。

お酒が苦手な人でも飲みやすく、特に後ろの2つに関してはフルーティーで日本酒だと思って飲むと驚くはずです。
機会があればぜひ!

さて、良い気持ちになったところでホームに向かいます。

歩いている最中、すでに呼吸がいつもより荒くなっている気がしますが、これからの旅に対して気持ちが高揚しているためでしょうか?
何故か顔も紅潮しているような気がします。なんでだろ?

ホームでしばらく待っているとShu*Kuraが入ってきました。
周りにいた人たちもみんな一様にカメラやスマホを構えて、入ってくる車両をバシバシ撮り始めます。

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藍下黒あいしたぐろ」と呼ばれる青みのある黒と白の塗装が特徴的・・・だそうですが黒とはいったい?
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では、早速、、、

列車は1号車~3号車となる3両編成で、1号車はペアシートやボックス席などの特別席、2号車は売店やスタンディングテーブルがあり、3号車は新幹線のようなリクライニングシート席の構成です。

1号車ではお食事付きの旅が楽しめ、今回妻が取ってくれたのはこちらの窓際のペアシートでした。

1号車に足を踏み入れると、すでに何名かの乗客がいました。
皆さん普段とは異なる電車旅に対しての期待感からか楽しそうな雰囲気です。

そして、乗務員のお姉さんが優雅に落ち着いた雰囲気で、テーブルのセッティングをしています。

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景色が見やすいように向かって右側の窓に向かって座席が用意されています。
なぜ片側に向かって配置されているかの理由は後ほど…


正直私は子供の頃から乗り物酔いをするたちで、この歳になっても酔う時は酔います。

おかげで子供の頃の車でのお出かけは、常に車酔いの思い出とともにといった具合です。

私が子供の頃に親から一番言われたのは、

「いいか、辛くなる前に遠くの空を見ろ」

という一見格言風に聞こえる車酔い対策の常套句でした。

電車の場合座席が進行方向を向いているならまだマシなのですが、後ろ向きだと9割近く酔います。

今回のように横向きに座るのは少し心配ですが、まぁすでに酔ってるし、気分は前向きだから大丈夫でしょう。

テーブルにはおしぼり、本日のお食事のお品書き、Shu*Kuraのロゴ入りのお猪口とそれを入れる巾着が用意されていました。

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何故か端に偏った置き方。
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展開

14:52出発です。

列車が走り始めてからしばらくすると、乗務員さんがウェルカムドリンクを配りにきました。

私の地元にある「吉乃川酒造」のスパークリング日本酒「酒蔵の淡雪」です。

分かりづらいですがグラスには一塊の氷が入っています。
冷えた状態の日本酒をロックでいただくのが今日の陽気にマッチして、火照った体がスッキリと癒やされていきます。

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・・・カランッ

続けてお食事が届けられます。

升に入ったお猪口には原酒造さんの「純米大吟醸 越の誉こしのほまれ」がその場で注がれ、その横にあるきれいなスカイブルーの瓶のお酒は君の井酒造さんの越乃Shu*Kuraオリジナル大吟醸酒です。

こうしている間も列車は動いており、時折不規則な揺れを生じさせます。
そんな中でも抜群の安定感で配膳し、お酒を注いでいく乗務員さんはさすがですね。

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和らぎ水として米どころ魚沼の水も用意されて至れり尽くせり
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ご飯の右にある緑色の皿には新潟の塩どころとして有名な笹川流れの塩が盛られています。

はて?別に塩が必要な食事は見当たらないが・・・と思っていたところ、乗務員さんからの説明で「こちらの塩は日本酒と一緒に召し上がってください」とのことでした。

あぶさんかよ!


というツッコミを理解できる人も少ないとは思いますが、さすが日本酒好きのための列車です。

酒飲みの究極のつまみは塩。というのは聞いたことがありましたが、実際にやるのは始めてです。

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田園風景を眺めながらの一杯。クゥーッ!!”(*>∀<)o(酒)

1つ1つの量は少ないですが味は抜群です。
ここに並んだ食事がすべて日本酒のつまみとして立ち上がっています。

そしてキレイに平らげたあとのテーブルがこちらです。

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あとは塩をつまみながらちょびちょびとね。
フィルムケースみたいなのも途中で配られたお酒です。

塩で飲む日本酒も粋に感じられ、普段とは異なった味わいで飲めます。

味には「甘味、酸味、苦味、旨味、塩味」がありますが、日本酒が塩味を除く4種の味で構成されているため、塩によってすべての味が揃い互いを引き立て合う相乗効果を生み出すそうです。

とはいえ、何か固形上のものを食べたい気分です。

2号車には売店がありますので、ちょっとおつまみを買い足しにいきたいと思います。

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売店「蔵守」
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迷いましたが、ここはおつまみ付きの呑み比べセットをチョイス。
「さらに飲むんかい!」というね。

越乃景虎(諸橋酒造)、越の寒中梅(新潟銘醸)、月の玉響(雪椿酒造)と村上産鮭の焼漬のセットです。

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売店でなみなみと注がれたお酒を自席まで持っていく必要があるのですが、これは気を使いますよ。

こぼさないように牛歩戦術で別の車両にある自席まで戻ります。

残念ながら特別なハプニングもなく無事にたどり着くことができました。

そして、鮭の焼漬をあてに再び酒宴の再開です。

この鮭がまた美味しくて酒が進みます。

新潟の村上は鮭が有名な町で色々と鮭を使った料理が特産品になっています。

地元の人は鮭と酒と情けの3さけの町とも言っていたりしますね。

そこで作られた鮭の焼漬…めちゃウマですので、こちらも機会があればぜひ食べてみてください。

さて、列車は柏崎駅を越えて海沿いに出ます。

この旅の一番の見せ場である青海川駅が近づいてきました。

こちらは日本海に近い駅として有名な駅です。

進行方向右側の窓に向かって座席が配置されていたのは、この風景を見せるためだったんですね。

ここでは少し長めに停車しますので、到着後みなさん下車して海辺に向かって写真を撮りまくっています。

私もこの景色をあなたにお届けするために負けじと写真を撮りますよ。

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少しオレンジがかってきて素敵な雰囲気

青海川駅を出発し、徐々に日も暮れてきて周りのおしゃべりの声も静まり車内もアンニュイな雰囲気になってきます。

完全にアルコールが回った体を支えることも億劫となり、徐々に前屈みになり机に突っ伏した形になってきます。

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そして、ふと気づくと終点「上越妙高駅」に。

あれれ?いつの間に???

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その後どこをどう歩いてホテルに向かったのかも記憶がありませんが、気がついたらベットで寝ていて23時くらいに目が覚めました。

「調子に乗ってグイグイ飲んでしまい、気がつくといつの間にか記憶がなくなっていることをたびたびやらかします。」


・・・。

また、やっちゃった♪☆(・ω<)

P.S.

記憶にない写真が何枚か妻から送られてきました。

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ふらつきながらShu*Kuraの前で撮影をせがんだそうです。

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